特定の推定相続人に相続させる旨の遺言がなされたものの、

遺言者より先に推定相続人が死亡してしまった場合は、その遺言の効力はどのようになるのでしょうか。

先に死亡してしまった推定相続人の相続人が相続することになるのでしょうか。

それとも、遺言によって財産を承継するはずだった人が死亡している以上、遺言としての効力を失うことになるのでしょうか。

この点について、判例(平成23年2月22日 民集 第65巻2号699頁)は、

 遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはない。

としています。

このように、遺言者より先に推定相続人が死亡してしまった場合は、原則として、遺言の当該内容については効力を失うことになります。